ハト

仕事から帰宅し、夕食の準備の前にちょっと小腹を満たそうと冷蔵庫をあけると、あるはずのバームクーヘンがない。
子供達が食べたのだろう、くらいにしか思わず朝食の残りのクロワッサンを食べた。
夕飯を終えると、子供達はそろって子供部屋へこもり、なにやら小声でコソコソ・・・
上の子に聞くと「なんでもない」と答えたが、下の子はまだまだ秘密をもてないようで、うっかり「ハトを拾ってきた」と白状した。
マンションの郵便受けの隅に隠しているという。怒らず早速一緒に行ってみると、隠したままの状態か、じっとうずくまったままであった。
ハトの周りにはパンのくずのようなものがたくさん落ちている。どうやら私のおやつのバームクーへンはハトのごはんになったようだ。
家にダンボールがなかったので、ゴミ集積場から小さなダンボールを拾ってきて組み立て、ハトをその中に入れた。バームクーヘンのカケラは箒で綺麗に掃き取った。


子供二人が交互にハトの入ったダンボールを持ち、家の近くの公園へ運んだ。
体が弱っているのか、まだ子供なのか、上手くとべないようだったので猫や犬に狙われては・・と思いすこし高い樹の上に置いてやった。バームクーヘンとともに。
陸橋の下に身動きできずにうずくまっていたハトを見て、助けてあげたいと思ったという。
明日の朝、子供達と一緒に公園へ行ってみよう。
元気に飛び立っていなくなっていることを祈って。